ゆく末のながきをかけしたのしみははかなくきえていとどかなしき
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山川 保二 |
絞首台に早くのぼせと人の言ふを同じ運命なるに我はおぢけり
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岩崎 吉穂 |
丈夫はかくなる運命悔ゆるかも軈て咲かせん山桜花
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原 徹郎 |
朝風になびくを見渡し彼の土より平和日本の日の丸の旗
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福原 勲 |
たとえ身は南海(みなみ)の果に果つるとも霊は帰りてみ國守らん
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大久保 正雄 |
君がため咲きほこりたる山桜夜半の嵐に散るぞ悲しき
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大本 清範 |
み戦に散るべかりしを刑場の露と消えゆく運命かなしも
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鏑木 正隆 |
香島大戦犯の道連れに心の塵もともに拭はむ
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川本 要 |
空蝉の身は広東に斃るとも天翔りなむ我が荒魂は
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近藤 新八 |
敗戦の詔かしこみ三年越し忍び来にけり友の情けに
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少路 始義 |
運命なれば斯くなるものと悟れども敗者の犠牲に神も泣かなむ
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野上 誠 |
千万の軍かへして異つ國に無実の罪負う戦争犯罪者はや
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堀本 武男 |
もろこしの法の白刃に散る若桜にほひとどめて染むるからつち
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松谷 義盛 |
銃先に明日立つ今日の我が心明鏡の如し莞爾と死なむ
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三善 孝 |
大君の千代に八千代を祈りつつ心静かに花と散るらん
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山中 朝夫 |
誠もて夷(えびす)の人に尽せしに報ひは悲し死のさだめなり
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山根 重由 |
南海の小島の野辺に散りゆくも魂(こころ)は祖国(くに)の 礎石(いしづえ)たらん
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横見 忠夫 |
遥拝聖寿の万歳を祈り笑みを含んで自決す
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吉村 甲子郎 |
嵐吹く異國の果に山桜散りて薫らんすめら御國に
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渡辺 勉 |
散ればとて何ぞ惜しまん大君の御楯と生を享けし身なれば
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渡辺 一正 |
御楯たる民とし秋の晴を逝く
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青井 真光 |
国の為笑って散らん晴れぬ身ならば
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岩田 光儀 |
とぎすます大和心の雄々しさは嵐にあひて冴え渡るらん
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岩本 三枝 |
露と落ち露と消えぬる我身かな現世の事は夢の又夢
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久保江 保治 |
身はここに戦のとがに果つるとも踏むべき道はたがへざりけり
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島崎 繁一 |
軍人弾丸(イクサビトタマ)にあたりて 死ぬものが捕らはれて逝く我悲しや
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田中 秀雄 |
戦へるはらからは皆帰りなん犠牲(いけにえ)の身に今日は暮れゆく
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富田 尭人 |
朽つる身の恥づる所はなけれども親見る世の目何と語らむ
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原田 国市 |
けふの日は心も軽く気も軽く笑って行かん極楽の里
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山本 正一 |
武士の道に殉ぜし桜花散りゆく今日を何か憂へむ
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吉岡 信 |
その上のもののふの如我もまた白羽の矢をば笑ひつつ受く
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安藤 茂樹 |
身はたとへ南の果に朽ちるとも偲ぶ今宵は故郷の夢
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大熊 正雄 |
我も又天皇陛下万歳と三度叫びて逝かんとぞ思ふ
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鴨居 義弘 |
皇神のまことの道をかしこみて思ひつつ行く思ひつつ行く
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合田 豊 |
みんなみのはなと此身は散りゆかむ君のためなり何ぞおしまむ
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原田 熊吉 |
愛児二人の後追いて異國の果で果敢なくも散る
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芝原 平三郎 |
あしざまにののしられつつ外國に首絞められて我果つべしや
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篠原 多磨夫 |
君がため散るを惜しまぬ此の命どうせ捧げた花じゃもの
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原田 信行 |
潔ぎよき桜の花の散りぎはを言づきよせや深山吹く風
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藤井 力 |
征く日よりささげし生命惜しまねど口惜しき科如何にとやせむ
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山田 恒義 |
戦いの犠牲はペナンに朽ちるとも護り尽くさん故国の吾子達
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渡辺 正作 |
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勝負は決った。 そして最後の決は、時がそれを定めるでせう。 ・・・・・・・・ 人間らしくなりたいものです。 一日一刻、一分間の中にも 意義を見出して行きたいと考へます。
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山口県出身 津穐 孝彦 |